こくさい  へい わ じゅんれい

    国際平和巡礼

         核の無い未来を目指して

ブッシュ米大統領とブレア英首相を、国際司法裁判所(ICC)で裁こう

あなたも賛同しませんか?

 

以下のアクションにご賛同くださる方は次の事項をメールのご記入の上、下記の送信先まで御連絡ください。

メールの件名:「ブッシュ、ブレアの戦争犯罪を告発するためのアクション」

                   1.個人の場合
                      *お名前 *都道府県名、海外の方は国名 *職業など(任意) *メールアドレス
                   2.団体の場合
                      *団体名 *連絡先のE-mailアドレス

送信先  f-saitou@jt6.so-net.ne.jp (西塔)

皆様のメールアドレスはこちらから経過報告をさせていただくためのもので公開致しません。

*************************************************

ブッシュ、ブレアの戦争犯罪を裁こう!

[ブッシュ、ブレアの戦争犯罪を告発するためのアクション]

みなさま

広島市立大学広島平和研究所教授のクリスチャン・シェラーさんが、ブッシュ大統領・ブレア首相の戦争犯罪を、国際刑事裁判所で告発しようと
呼びかけています。

すでに今月半ば、アメリカ・イギリス・スイスなどの法律家・人権活動家のグループが、「アメリカの軍事力行使を抑止するために国際刑事裁判所を
利用する」という宣言を発表しました。また、来月には、すぐれた国際法の専門家たちが、常設民衆法廷への第一回目の意見具申に向けて、アメリカ・イギリスの罪状告発のアウトラインを描くことになっています。

このアクションには、国際法に関する専門家の力が必要であるとともに、この趣旨に賛同する世界中のグループや個人の幅広いサポートが必要です。

具体的にこのアクションをどう進めていくかについては、これから討議や情報交換を重ねていかなければなりませんが、ブッシュ、ブレアの戦争犯罪
告発を求める国際世論を喚起し、国際刑事裁判所による取り調べ開始のための推進力をつくること、また、すでに行動を始めている法律家・人権活動家のグループや、常設民衆法廷の活動を支持し、サポートすることは、その重要な柱となります。
このアクションの目的は、劣化ウラン使用を含む戦争犯罪を告発し、戦争犯罪に対する制裁を加えることにより、戦争と虐殺と核による無差別殺戮を抑止することにあります。

皆様のこのアクションへのご賛同をお願いいたします。また、ご提案、ご協力、よろしくお願いします

 *****************************************************

[ブッシュ、ブレアの戦争犯罪を告発するためのアクション]

呼びかけ人:クリスチャン・シェラー(広島市立大学広島平和研究所教授)
        Christian Scherrer <scherrer@peace.hiroshima-cu.ac.jp>
    

4月末現在の賛同人:
【個人】
西塔文子(広島)大庭里美(広島)福間由紀子(広島)笠井一朗(北海道)早坂康隆 (広島/広島大学) 星川淳 (鹿児島/作家・翻訳家) 
野川温子(茨城/国際平和巡礼事務局)野田隆三郎 (岡山)吉田稔美(東京) 山田敏正(大阪) 青木千里 (東京/主婦) 山本史郎 (山口) 寺本和泉(大阪/労働組合役員)郡敏昭(神奈川)沢田洋(埼玉/教員)斉藤緑(北海道/洛農業)大野博雄 (北海道/地方自治体職員)上野白湖 (北海道/年金生活者)高野律雄(北海道/農場たつかーむ) 柳原二郎 (千葉) 三上めぐみ(北海道/主婦) 阿部純子(愛媛/「ヒロシマの火」の会代表)   高島康司 (東京/自営業)吉田孝夫(宮崎/弁護士)浦田賢治(東京/早稲田大学、元国際司法裁判所判事)

【団体】
リボン・プロジェクト 




2003年4月11日

イラクにおける劣化ウラン弾攻撃被害はジェノサイド級

クリスチャン P. シェラー

レッド・アラート:都市一帯でウランを大量使用

 この広島からの報告は、イラクにおける米国の殺戮に反対する、大規模な抗議に焦点をあてる。劣化ウラン弾は、湾岸戦争で多くのイラク人とアメリカ人の命を奪っており、さらに、米国は、アフガニスタン、バルカン半島、イラク戦争でも使用し、人類を脅威にさらしている。
 

 著者は、広島平和研究所の研究員。これまでにルワンダ、東チモール、カンボジア、ビルマ、スーダンなど世界各地のジェノサイドとエクスターミニズム(絶滅主義)に関して調査、執筆にあたってきた。最近の著書に、Genocide and Crisis in CentralAfrica (Praeger 2001)、Structural Prevention of Ethnic Violence (Palgrave2002)、Ethnicity, Nationalism and Violence (Ashgate 2003)がある。

ICCはイラクにおける非合法の放射線兵器やクラスター爆弾などの使用という人類に対する犯罪を告発すべき

2003年3月2日に、6000人もの人々が広島に集い、空からNO WAR、NO DU!(戦争をやめよう、劣化ウラン弾をなくそう)と読める人文字を作った。人類史上初の原爆が数十万人の命を奪い、街を廃墟と化した、グランド・ゼロから1キロほどのところにある公園でのことだ。

ヒロシマの人文字メッセージ「NO WAR, NO DU!」

 われわれの警告は、米英による核兵器の使用と戦争に反対するものであった。われわれの危惧は、1945年8月6日と9日に広島、長崎が破壊されて以来、米国が違法な核兵器や、劣化ウランやプルトニウムを含有した兵器を5回も使用しているという悲しい事実を踏まえている。
 ヒロシマ、ナガサキ後、またしてもアメリカ合衆国によって、46年ぶりの1991年に、イラクに対して核兵器が使用された。イラクにおける軍事侵攻にともなって、人類史上初めて、劣化ウラン弾が使用されたのだ。
 その後まもなく、イラクから、劣化ウラン兵器の被害に関して恐ろしいニュースが続々と入って来るようになった。最初の本格的な調査は、1993年から実施され、イラクで、広島・長崎と同様の放射線戦争の被害が公衆衛生上あったことを確認している。
 核の問題を取り扱う国連システムの専門機関、国際原子力機関(IAEA)は、イラクにおける劣化ウランのぞっとするような被害に関して詳細な知識をもっていた。1998年9月の第42回総会では、劣化ウランに関するイラクへの軍事侵攻について具体的な情報が網羅されたRadiation Effects(放射線の影響)と題された文書が提出された。1999年9月29日のIAEA文書、GC(43)/INF/20には、次のように書かれている。「さまざまな症状のガンなど、通常この地域では現れない疾患、早期流産、奇形児などのほか、遺伝的損害を生じる恐れのある後障害、砲撃が生ずる放射性噴出物から出る放射性廃棄物による将来の影響。この影響は、自然現象によって他の地域に運ばれる恐れもある。」
 1999年4月20日に開かれた原子放射線を扱う国連委員会によって発行された第48回会議の報告書に基づき、1991年から1997年までの劣化ウランによる死亡率の急増に注目し、IAEA文書は、50万人のイラク人の死を予測していた。すなわち、「数百(700−800)トンの劣化ウランが、イラク南部の軍事地帯の砲撃に使用された…これほどの量は、放射線の影響があり、(500,000)症例を死に至らしめる見込みはじゅうぶんある。この大量の劣化ウランと、放射性噴出物、高度に有毒なガスによる影響で、これらのガスは、米国防総省のためにこれらの弾丸を製造していたニューヨーク近郊の工場から1989年に放出されたガスの量の(700,000)倍にのぼる。」
 このレッド・アラートと、劣化ウランの恐るべき影響に関する豊富な知識があるにもかかわらず、米国はすべての証拠を否定し、この劣化ウラン型の非合法の大量破壊兵器を、1995年にボスニアで、1999年にユーゴスラビア・セルビアで、さらに2001年10月からアフガニスタンで、繰り返し使用してきた。

劣化ウラン弾を大量破壊兵器として禁止した国連決議

 国際連合が対応を迫られた。人権委員会小委員会2の1996年委員会では、劣化ウラン弾が、現行の人道法になじまないものであることから、すでに禁止されているとの立場をとり、大量破壊兵器(WMD)であると位置づけた。国連機関が、劣化ウラン兵器を違法で、禁止された、ブラックリストにのせられた兵器であると宣言した決議を発したのである。つまり、その使用は、人類に対する犯罪になるということだ。
 国連決議は、NGOの国際的な連合体や、優れた専門家などの数年にわたるロビー活動を経て採択された。これには、イラク国民に関する劣化ウランの影響の最初の科学的調査を実施したホルスト・ギュンター医学博士が、きわめて重要な役割を担っていた。国連もまた、劣化ウラン兵器の使用に関する調査を委任している。

米英による一連の国際法違反

 国連人権委員会小委員会2による、2002年8月の報告書では、米英が、4カ国(イラク、ボスニア、旧ユーゴスラビア、アフガニスタン)で劣化ウラン弾を使用したことで、国際法に違反している根拠とする法律のリストをあげている。
・1899年と1907年のハーグ条約
・1925年のジュネーブ議定書
・1945年のニュールンベルク原則
・国際連合憲章
・1948年のジェノサイド条約
・1948年の世界人権宣言
・1949年のジュネーブ諸条約
・拷問等禁止条約
・1977年の第一及び第二追加議定書
・1980年の通常兵器条約
・1996年の国連人権委員会/小委員会2決議

放射線兵器は長年禁止されてきた

これらの国際法では、「毒素、または毒素兵器」、「不必要な苦痛を生ぜしめる性質をもつ兵器、投射物及び物質」の使用を明白に禁じている。第一次世界大戦で猛威を振るった毒ガスの恐怖を受けて、1925年のジュネーブ議定書は、兵器としての放射線の使用を禁じている。ジュネーブ諸条約の1977年の第一追加議定書は、環境に対して放射性の有毒な手段の使用を禁止している。2002年の国連人権高等弁務官事務所小委員会2による「人権と大量破壊兵器、あるいは無差別的影響、あるいは余分の危害または不必要な苦痛を生ぜしめる兵器」(E/CN.4/Sub.2/2002/38)に関する研究の中で、筆者は、人道法のあらゆる典拠に照らして、兵器が次のように使用される場合は、禁止されているとみなすと結論づけた。

(a) 無差別な影響を及ぼす場合(文民と戦闘員を区別しない)
(b) 正当な軍事攻撃目標との釣り合いがとれていない場合
(c) 広範な、長期のかつ重大な環境の損害を生じる場合
(d) 余分の危害または不必要な苦痛をもたらす場合

 「ミニ・ニューク」や「バンカー・バスター」、とりわけ、B61-11は、これらの因果関係すべてを明白にみたしている。報告は、核兵器を保有していない5カ国を含めた7カ国に対して「先制使用」を意図する米国の核態勢見直しに警告を発するものである。「ミニ・ニューク」であれ、劣化ウランを施した「バンカー・バスター」であっても、筆者は、これらの意図は人権侵害であり、人道法に違反すると判断する。そのうえ、対人地雷、クラスター爆弾、気化爆弾は、無差別な影響を及ぼす禁止された兵器であり、第一追加議定書に違反する兵器なのである。報告はさらに、ウラン・パウダーを使用した第三世代の米製気化爆弾にも警告を発するものである。現在使用されている気化爆弾の爆発力のすさまじさは、無差別破壊なしに使用することは不可能であり、科学者たちは、バルカン半島やアフガニスタンにおける気化爆弾の使用が、これらの地域での地震を誘発した可能性をぬぐいきれないと懸念を表明している。
 米英のリーダーたちは、劣化ウラン弾を禁止する国連決議を軽視したにとどまらず、多くのイラク国民はもとより、自国の兵士の健康と生命を脅威にさらし、国際法を犯している。1991年の湾岸戦争に従軍した退役軍人に対する調査で、その多くが、目がない、血液障害、呼吸困難、指の癒着など、深刻な先天性異常を持つ子どもを抱えていることがわかっている。米国政府がこれらの事実と、劣化ウランとの明らかな因果関係を認めようとしないことは、きわめて遺憾である。(Horan P, Dietz L,Durakovic A.: “The quantitative analysis of depleted uranium isotopes in
British, Canadian, and U.S. Gulf War veterans”, Military Medicine, Mil Med,2002 Aug;167(8):620-7: also: Dai Williams: DU Secret Unfolds. Part 1 DU investigations & briefings 2001, p. 28.を参照のこと)
 復員軍人省によると、1990年8月から1991年7月まで、湾岸戦争に従軍した兵士の4分の1以上にあたる19万9千人の退役軍人が、障害があることを訴えたとされている。復員軍人局は、調査し、湾岸戦争の退役軍人は、他の軍関係者と比較して、筋萎縮性側索硬化症を発症する割合がほぼ二倍にのぼることがわかったことを認めることへと追いこめられた。(Y.K.J. Yeung Sik Yuen: Human rights and weapons of mass destruction. Geneva June 2002, p 34を参照のこと).

英米によるイラクの人口密集地域への劣化ウラン弾、その他の大量破壊兵器投下は人類に対する犯罪行為

 一方で、イラクでの犠牲者は急増し、奇形児の出産、それまでなかったガンの発症が恐ろしいまでに広まっている。ジャワッド・アル・アリ教授(バスラ大医学部)とフサーム・ジョルマクリー教授(バグダッド大医学部)が行った11年にわたる長期的調査から、米国の放射線兵器の使用が原因とみられるガンや白血病による死者が、1991年から急増していることがわかっている。(2002年12月1日、広島平和記念資料館で行われたイラクの医師によるプレゼンテーションを参照のこと;ヴィジエ・ファウンデーションのウェッブサイトからパワーポイントのプレゼンテーションがダウンロードできる)
 開戦から3週間の間にわれわれが目撃してきたことは、ぞっとするような光景であった。米英は、イラクの人口密集地域に住むイラクの無防備な市民に対して、使用を禁止された核兵器を落とすことで人類に対する罪を犯しているのである。1日目から、大きなバンカー・バスター劣化ウラン爆弾が、人口5百万人の首都バグダッドに使用された。市の中心部は、おびただしい放射線の汚染のため、閉鎖されるべきなのである。
 米英の空爆には二つのタイプがあり、一つは厳密に標的が定められた攻撃で、もう一つは、戦争が長引くにつれて無差別になる攻撃だ。第一の標的を定めた殺戮と破壊に関していえば、米国は、当初から情報操作をもくろんでいた。われわれは、自由に報道するメディアを軍が強襲するのを目撃した。イラクテレビとアルジャジーラという、米英の情報操作の手が届かないテレビ局が爆撃されたのだ。4月8日に、米軍のミサイルが、バグダッドにある、アラブでもっとも人気あるテレビ局に着弾し、カタール人のテレビ・キャスターが死亡している。レポーターのタレク・アユーブが死亡し、ゾハール・アルイラクは、重症を負った。これまで、18名のフリー・ジャーナリストが米英軍の標的となり、殺されている。続く出撃で、米軍機がバグダッドにあるパレスチナ・ホテルの上空を飛んだのは、ジャーナリストを威嚇するためだった。報道の自由が抹殺されようとしている。
 第二の無差別攻撃に関しては、米英軍は、クラスター爆弾、「デイジー・カッター」熱バリウム爆弾などの違法の兵器、さらには、新型で未知の恐ろしい兵器を使っていることも考えられる。民間人に対する強襲も4月1日にさらに強硬な戦術を使う命令が出てからますます過熱している。これは、「まず撃て、それから質問しろ」という順なのだ。効果は抜群だった。48時間もたたないうちに、路上で、自宅で、畑で、大勢の市民が銃撃された。市場や住宅地にミサイルが落ちても、米軍司令部は無差別攻撃であることを否定している。2003年4月13日号のニューズウィークに掲載された「グラントの戦争」は、その侵略戦争が、米国の従軍記者の視点から書かれた記事であるが、18日間の戦争を経て、米国のイラク国民皆殺し戦争のニヒリスト的な様相描写には驚愕するしかない。

「集団内における出生を防止することを意図する措置を課すること」国連ジェノサイド条約第2条d(集団殺害の定義)

大量殺戮に関してもう一つのあり方は、1991年の湾岸戦争でも行われたことであるが、イラクにおける上水道パイプと浄水場を計画的に標的にしたことである。英国軍が、飢えに苦しみ、脱水状態にある150万人を包囲した、バスラでのできごとには愕然とするばかりである。彼らは、何週間も水を口にしていなかった。大都市ではどこも、1991年に使われた都市基盤を標的とする犯罪的戦略が再び使用された。トーマス J.ナギーが、「米国はいかに意図的にイラクの水道を破壊したか」(The PROGRESSIVE,September, 2001)を見せているが、これは、国防情報庁によって作成された機密扱いを解かれた文書を基にして書かれたもので、米国の軍部が、大規模な病気の発生により、市民、とりわけ子どもの死亡率を高める工作を意図的に行っていることを立証している。米国は、「人道物資」の定義を食糧と医薬品だけに限定しようと試み、給水、下水、電力、さらに医療施設を復旧させるために必要な物品の輸入を妨げたのである。「米政府は、湾岸戦争後、イラクの給水状態を悪化させるために、イラクに対する制裁を意図的に利用した。しかも、子どもを中心に、イラク国民への痛手であることを知りながら。」ユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)は、病気や栄養不良で死亡した犠牲者数を50万人としており、その大半が子どもだとしている。1998年に国連が、健康と栄養状態について全国調査を行った結果、イラク中部と南部に住む5歳未満の子どもの死亡率が、それに先立つ10年間の二倍になっていることがわかった。これは、1998年までに、50万人以上の子どもが死亡していたことを示唆し、子どもの過剰な死は、1ヶ月あたり5千人の割合で続いているのである。ユニセフは、2002年に、イラクの子どもの死因の7割が、下痢と急性呼吸器感染によるものだと見積もっている。まさしく、米国の諜報部が、1991年に正確に予想していた思惑(DIA報告書)通りの、清潔な水、下水設備、電力供給システム破壊の結果なのである。成人も、とりわけ、高齢者などの弱者も然りである。1997年に発表されたユニセフ・レポートでは、あらゆる年齢の犠牲者の総計は、120万人とされている。制裁の影響であることの証拠は、もっとも権威ある筋から出ている。デニス・ハリデイは、1997年から1998年まで、イラクで国連人道コーディネーターとして働いていたが、制裁に抗議して辞職し、制裁を計画的な「ジェノサイド」と呼んでいる。
(Research Unit for Political Economy: Behind the Invasion of Iraq. MumbaiDec. 2002/ Monthly Review Press, March 2003から引用)
1990年に制裁が課されてから、死亡率はハネ上がり、120万人あまりが犠牲になっている。1979年から1999年までの死亡率に関する1999年7月のユニセフ・リポートは、「幼児の死亡率(IMR)と、5歳未満の死亡率(U5MR)のいずれも、調査前の10年間に増加の一途をたどっていることを見せている。さらに具体的に述べると、幼児の死亡率は、1984年から89年までの生児出生1000人あたり47人の死亡であったのが、1994年から99年までの生児出生1000人あたり108人の死亡へと増加している。5歳未満の死亡率は、同じ時期に、1000人あたり56人から131人へと増加している。
( http://www.unicef.org/reseval/pdfs/irqscont.pdf)
米英によって図られた制裁支配の続く間、幼児と子どもの死亡率は倍増、さらに、130万人台を突破している。2000年のボスイ・リポート(E/CN.4/Sub.2/2000/33)は、制裁支配の犯罪性を追及することを勧告しているが、米英は、そのような追及に横槍を入れている。
 実際、これらの行為は、ジェノサイド条約第二条c「全部又は一部に肉体的破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること」、同条d、さらには、ジュネーブ条約とその追加議定書、とりわけ第一追加議定書の第五四条「文民を餓死させることを戦争方法として使用することは、禁止する」に違反している。米英によって国民の生活基盤を意図的に破壊することを原因とする死亡率の急騰は、劣化ウラン弾などの大量破壊兵器を使用した冷酷な軍事行動によって複合的な被害を生み出しており、20世紀最悪最大の大量殺戮の代表格となっている。

米英の劣化ウラン・バンカー・バスター攻撃で発生する放射線は百万人台の死者を出す恐れがある
劣化ウラン弾の使用がジェノサイドであることは明らか

 1999年にIAEAは、700から800トンの劣化ウラン兵器の影響により、150万人が暮らすバスラ周辺のイラク人50万人の命が奪われるであろうと見積もった。今の戦争で、米英は、4月初旬までに2千トンを上回る劣化ウランを大量に投入している。アルアリ博士によって研究された疾病パターンによると、汚染された地域からの距離がきわめて重要であるとされている。劣化ウラン弾は、バスラ近郊の砂漠で、主としてイラク軍の戦車に使用されていた。
 2003年3月から4月には、ひじょうに大量(これまで2千トンあまり)の劣化ウラン弾が、バグダッド中心部の5百万人が暮らす住宅地域の至近距離で使用された。今日、われわれが劣化ウランに関して知り得ている知識からすると、いかに犠牲者数を予測しても、それは恐ろしい数に上る。恐らく、この先数年で数百万人が死亡し、その後も、上昇の一途をたどることであろう。米英の戦争リーダーたちは、バグダッドをはじめとしたイラク各地で、無防備なイラク国民に対するジェノサイドの罪を犯しているのだ。
 民家の立ち並ぶ居住地に接近して使用すると、高度に毒性が強く、自然発火する放射性の重金属である劣化ウランは、最悪の被害を招くことになる。ウランが燃焼し、大気中に飛散し、ウラン粒子の放射性降下物となって、空中から人体に吸入、あるいは汚染物質に接触することで体内に取り込まれる。1991年の戦後のイラクにおける奇形児の出生やガンの増加(ガンの発症は7倍から10倍、奇形児は、4倍から6倍の増加)をみたように、イラクで大々的に、民家に近接して、毎日、大量に使用されることでさらに事態は悪化するのである。自国の兵士に通知しないまま、ペンタゴン(米国防総省)が、劣化ウランの悪影響を知っていながら、1991年の湾岸戦争で大量に配備していたのと同じ、深刻な罪がまた犯されている。劣化ウランの恐ろしい被害を十分理解しながら、米英のリーダーたちは、何百万人ものイラク人と、自国の兵士たちを、死と隣り合わせの危険な状況に置いているのだ。
 長い年月と、戦いが実って設立された国際刑事裁判所(ICC)は、人類に対する罪、戦争犯罪、世界平和の断絶、国際法への一連の違反など、現在イラクで行われている犯罪から目をそらすことはできない。

国際社会は立ち上がるべき

 3月下旬に学術界、NGO社会の同僚や友人に送ったアピールの中で、筆者は次のように結論づけた。

1.イラクへの侵略は違法であり、不当かつ、大儀がない戦争であり、世論は、迅速に確たる対応をすべきである。バグダッドの路上をはじめ、イラク全土で国民が死亡している。この戦争に反対して世界中の人々がデモを繰り広げており、今後も抗議は続くであろう。米英はこれを停止し、国連が動くべきである。

2.現実において、都市の住民は、無防備な民間人が大半であり、米英の攻撃は、イラク国民を標的にしたものだ。ピンポイント爆撃など不可能なのである。米軍は、イラクの大衆はもとより、自国の兵士の健康にすら、この核放射線兵器が、中期・長期的に恐ろしい影響(米国ではこれを「湾岸戦争シンドローム」と読んでいる)を与えることを知りながら、劣化ウラン兵器を大々的に使用することとしており、これを公言してはばからない。1991年から、おびただしい数の子どもたちが次々と死亡した。核の被害による、さまざまなガンや白血病との長い苦闘の果てに迎える死である。

3.侵攻の裏にある本当の理由は、戦争が始まる前から誰の目にも明らかだった。石油を略奪し、石油輸出国機構(OPEC)を弱体化させ、石油価格を引き下げようと狙っているのだ。もう一つの理由は、私見であるが、地政学な理由である。第三次湾岸戦争が、単独行動主義という新たな時代のきっかけとなり、国家システムに無政府状態を作り出し、米国はそこで覇権を握りたいのである。ブッシュ政権のアドバイザーや高官の中には、この目的を隠そうとしない新保守主義者たちがいる。ウォルフォウィッツらは、米国の「警察としての義務」を口にしている。

4.米国は、新たな悪の帝国になろうとしている。19世紀を席巻した帝国主義の再来が短期間で終わることを願うばかりである。これは、米英政府に反対する世界連合によって克服できる。たとえば、国際刑事裁判所によって、ブッシュ・ブレアの人類に対する犯罪と戦争犯罪が告発されるよう働きかけることで始めることができる(戦争開始の日に筆者が提案したアイデア)。それから、南アフリカのアパルトヘイトに対してそうであったように、米英に対して毅然とした国連制裁を求めることができる。

5.まさしく、一方的な戦争は、国連、欧州連合、北大西洋条約機構(NATO)などの多国間の枠組みの行く手に立ちはだかる難題なのである。民主主義、報道の自由と表現の自由(米英のマスメディアによる報道統制と事実の歪曲に屈せず)を信じ、蛮行がまかり通る新たな退行を招いた首謀者たちを変えることで、19世紀に幅を利かせた帝国主義の再来が長続きしないことを願おうではないか。

ヒロシマの教訓を学ぼう!

インフォメーションへ

ひとりからのアクションへ